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たった1°を疎かにしない/日高村地域おこし協力隊 小川さん
日高村デジタルコンテンツ制作担当です。
村人寄稿では、日高村在住の方や以前に住んでいた方など、日高村に関係する方々に協力いただき、「日高村について」毎月1記事を投稿いたします。
今回は、林業振興の活動をされている、日高村地域おこし協力隊の小川さんにお話をお聞きしました。それではご覧ください。
自己紹介
今回の執筆を担当させて頂きます、日高村地域おこし協力隊で林業振興のミッションで活動をしております、小川稔と申します。
簡単ですが自己紹介をさせて頂きます。
私は東京生まれ東京育ち。
妻は高知県出身。いわゆる「Y(嫁)ターン」というものです。
今は林業をしていますが、東京にいるときはスポーツクラブでインストラクターをしていたので、まったくの畑違いです。
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当然のことながら、林業を始めるにあたり、林業の研修をきっちりと受けてきました。
初めてチェーンソーで木を切った時は、とてもドキドキしたのを覚えています。
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普段は、日高村の「木の駅ひだか」で、薪づくりのお手伝いをしています。「キャンプブーム」の昨今、とても多くの方々にご愛顧頂いております。特に「焚き火」をする機会の多い秋から冬にかけては、薪製造が追いつかないぐらいの売れ行きです。
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実は、私たちが薪づくりをしているこの原木。
主に仁淀川流域で間伐された木材を使用しています。
皆さんもご存じの「間伐」。
ここ最近では林業従事者の高齢化や担い手不足により、多くの人工林が「間伐」されず、四季を通じて真っ暗な森となっています。
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私の仕事は主に2つ。
一つ目は、「間伐」をすることで、日高村の人工林を元気な森にすること。
二つ目は、「間伐」した木材を薪にして販売すること。
間伐をしても、その木材も利用・販売することができなければ、仕事として成り立ちません。また。薪づくりだけをしていても、薪の原材料である「間伐材」がなければ同じく仕事として成り立ちません。
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林業のむずかしさと奥深さ
林業3年目。
少しずつ技術を身につけていますが、まだ思う通りに伐採することができません。林業は本当に難しく奥が深い仕事だと痛感します。
私が先輩林業家の方よりお伺いしたお話しですが、伐採した木を思う通りの方向に倒したい場合、「たった1°を疎かにしないこと」。これが本当に大事であると何度もおっしゃっておりました。
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まだ未熟な林業家見習いなので、1本倒すごとに「水平器」で角度を測るように心がけています。しかし、本当は水平に切りたいのに、何度伐採しても1~5°の差がでてしまいます。結果、本来倒したい場所ではない方向へ倒れてしまうので、隣の木にひっかかってしまうことも多々あり、日々反省の繰り返しです。
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ごく稀に想定通りの角度で切ることができると、先輩林業家がいつも言う「ピンポイント」で倒したい場所に倒すことができます。
林業修行中の私にとって、この「ピンポイント」が何よりも嬉しく、きちっと倒れた写真をお昼ご飯の時に眺めながらニヤニヤしています。
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伐採した木材を「山から運び出す」。
これ私が一番大好きな仕事です。
伐採した木をたくさん積んだ「林内作業車」に乗って、山を下っていく「搬出」というお仕事です。
木材の重量は重いとき「1t」近くにもなります。走行レバーの操作ミスによっては、林内作業車が転倒してしまうこともあります。
しかし、地面の凹凸、角度、土の状態などを考慮しながら、安全かつスピーディーに進んでいくということ自体、人生でこんな経験をしたことがありませんでした(伐倒もですが、、、)。
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私が伐採した中で過去最大の失敗はこのかかり木です。枝にひっかかるレベルではなく「幹」にかかってしまいました。
幸い、倒す木もかかった木も比較的細かったので大きな問題にはなりませんでしたが、このかかった木を外すのに2時間弱かかってしまいました。
林業の技術が向上すれば、安全且つ効率的に作業を進めることができるということを日々身に染みて感じています。
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日高村の森は、人工林の割合が比較的少なく、「広葉樹」が多くを占めています。特に「シイ・クリ・クヌギ」などをよく見かけます。
木の駅ひだかで薪づくりもしている私としては、広葉樹の森も間伐の対象としています。とくに「コナラ・クヌギ」については、比重が高いため、焚き火をした際、とっても長持ちするため、少々価格が高くても人気がある商品です。
私もキャンプが大好きなので、焚き火をする際は「クヌギ」を使うようにしています。ただ、値段が少し高めなので、私が普段から使うのはいわゆる「雑木」と言われる比重の低い薪(シイ)です。
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「木」と「夢」
日高村の森林所有者とよくお話しする機会があるのですが、「人工林の森を広葉樹の森にしたい」と目を輝かせながらお話しをしてくださります。
たしかに広葉樹の森は「綺麗・美しい・気持ちがよい」と思うことが多々あります。手入れのされていない人工林(針葉樹)の森は、四季を通じて薄暗く、あまり気持ちの良いとは言えない場所も多いです。
しかし、そんな人工林の森であっても、適正な量の間伐を行い、森に陽光が適度に差し込むようになれば、美しい・気持ちがよいと感じる森へと変わっていきます。
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私の夢は、子供たちが山に入り、森で自然に触れ合うことで、身も心も健やかに育ってもらうことです。
人工林を悪者扱いする人もいますが、必要があったので、先人はスギやヒノキをたくさん植えました。それはその時代をよりよく生き抜くための知恵であり伝統であると思います。
今の時代、「スギ・ヒノキ」の需要が少なくなった一方、心地の良い自然の中で過ごす「アウトドアライフ」が現代人にとって重要な位置を占めるようになってきます。
今、日高村の皆さんが求めるものを、どうやって森に反映させていくか。それが新たな伝統になり、「伝統」が新たな形に変化して引き継がれていくのだなと感じます。
これからも、日高村の森のため、そして、キャンプが大好きな方々のため、林業を通して、お役に立てることができよう精進していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
いかがでしたか?
嫁ターンで東京から日高村に移住した小川さんは、林業という仕事に出会い、その魅力や奥深さに惹かれ自然と向き合うことで、新たな夢にたどり着きました。
県土の84%を森林が占めている高知は、県としても林業に力を入れており、全国に先駆けて様々な取り組みを進めているそうです。
次世代の林業・木材産業をけん引する人材には、小川さんのようにいろんな角度から林業を見つめ、追求し、また、林業を楽しみながら進んでいける、そんな存在が必要なのかもしれませんね。
日本の高知のほどよい田舎"日高村"。
高知県の県庁所在地「高知市」から約30分。
人口5000人の村で、特産品のフルーツトマトを使ったオムライス街道で村おこしをしています。観光スポットとしては小村神社、名越屋沈下橋、霧山茶園などがあります。
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